石を「資産運用」してはいけない理由


最近は少なくなりましたが、石を貯金のようなものとして捉えて売る人、買う人がおります。

学生時代に、宝石を買いませんか、という電話営業がかかってきたことがあります。まだ個人情報保護法もあったのかなかったのか、ろくに機能していなかった頃のお話です。

石については素人だろうとタカをくくっていたのでしょう。日曜日の朝にそんな電話で叩き起こされた私は、わざわざその会社まで出向いて徹底的に論破しに行ったことがあります。

 

 

<金と宝石は違います>

 

 

石で資産運用、という人はおそらく金と混同されているのではないでしょうか。

金は別物です。

金は金本位制の時代があったくらいに、世の中の価値の基準として流通していた時代があります。

宝飾品のみならず、錆にも腐食にも強い耐性を持つ金の価値はそうそう失われることはありません。

もちろん、投資というよりは投機対象になっている分、本来の価値よりも余計な価値がついておりますが、それでも買った時よりも価値が上がる可能性はそこそこあると思います。

ともかく、金の運用というのは株の運用と同じなわけです。

株やFXであればネットでやれば売買手数料は知れたものですが、金の場合は相場から買取価格を引いた値段を人件費等にあてて、それを手数料名目で受け取れば、商売としては十分に成り立ちます。

 

<洋服屋さんの原価率>

 

一方、宝石はどうでしょう?

これは金というよりはアパレル製品に近いものです。

洋服の原価率・利益率はご存知でしょうか?

正直ビックリするような利益率です。

事あるごとに、平気で50%OFFなんかやりますよね。

本屋ではまず割引なんかありません。せいぜいポイントカードがいいところです。

ですが、洋服はただ工場から買い付けて、店頭に並べるだけでかなりの利益をつけております。

もちろん、それが悪いことでは全くありません。

自分で洋服店を経営するとわかると思います。

商品が飛ぶようにバンバン売れていけば問題はないですが、ある程度品を揃えておかないと売れるものも売れないですから、かならずデッドストックというのが必要になるわけです。

その分も利益に乗せておかなければならないわけで、もし原価率が50%でやっている洋服店があるのであれば、素晴らしく優良店だと思います。

私が洋服店をやるとしたら、原価率50%でやる勇気はないです。

<宝石はどう?>

さて、宝石屋はどうでしょう?

宝石屋だって、利益が必要なのは一緒です。

しかも、溶かしてインゴットにすればいい金とは違い、宝石はそれぞれが一品ものです。

そのため、流通効率は金と比べると著しく悪い。

ではどうするか。単純にデッドストックの分のリスクも含めた原価率にせざるを得ないわけです。

しかも洋服ならば年に何着も買うのが普通でしょうが、宝石を年に何個も買う人はごくごく稀です。

一生に一回も買わない人だっているでしょう。

ちなみに私は50年近く生きてますが、一度もありません。

結婚指輪だって簡素なものです。給料3ヶ月分とかいう経済音痴な宗教を信じている人とはそもそも一緒になるのは不可能ですので。

となれば、石の原価率なんて、どんなものか、想像つきますよね。

仮に原価率が30%(控えめ表現)だったとしましょう。

そうすると、100万円で買った宝石の原価は30万円です。

ではその宝石を売りに行ったとしたら、宝石屋はいくらで買い取ってくれるでしょうか。

もし30万で買い取ってくれたとしたら本当にいい人ですね。

客としてはありがたいお話ですが、その人と商売をしたいとは思いません。それで儲けるのは不可能に近いと思うからです。

せいぜい20万で売れたらいい方だと思います。

つまり、宝石は買ったらその瞬間に価値が20%に下がるわけです。

普通、そんな金融商品、あり得ませんよね。

何かの事情で、その宝石の価値が5倍以上に跳ね上がったりしない限りは、それで儲けることは不可能なのです。

しかも、一部の宝石に至っては、独占禁止法?なにそれおいしいの?という状態です。価格なんて独占している企業のさじ加減でどうにでもなります。そこに市場原理など入り込む余地は、今のところなさそうです。

<石はあくまで思い出として>

 

石で資産運用という人は、石屋さんにとっては素晴らしいお客様です。

世の中全ての事象において0%というのはないわけで、石を保有していたら価値が10倍に跳ね上がるという可能性もないわけではないです。

ただ、私なら石よりもタイムマシーンに投資します。同じ可能性が0でない、というもの同士なら、夢がある方がまだましですので。

あくまで石は、思い出として、自分の初心とをつなぐキーアイテムとして、大事な人との絆との象徴として、価値を感じていただきたいと思います。


カテゴリー未分類