ある時知り合いの石屋さんが喜々として言ってきました。
「まっつん、オーラ写真機を導入したんだ。いいだろう。」
・・・・ああ、手を出してしまいましたか。とうとう。まぁ思想信条の自由が保証されてますからね、日本国憲法では。
特別に撮らせてくれるとのことですが、丁重にお断りした記憶があります。
コメツキムシでもじっくり観察している方がまだ有益な時間になりそうなので。
あんなもんデジカメで取ってソフト的に輪郭抽出なりなんなりして適当に乱数でそれらしき色をつければいいだけの話です。
それをまぁ立派な筐体で囲ってしまって。
そもそもあんなモノを売っていいのだろうか、この国は、と思いましたが大手メーカーがこぞってマイナスイオンだとか言っていたことを考えると問題ないのでしょう。
気になるのはこの機器の開発段階のお話。
こんなもの作る以上、技術者が絡んでいるはずです。
こういったものは多少電気工作の心得があれば誰だって作れるもんです。
ただ、センサーだけは個人でどうこうするのは絶対無理です。
そのため、センサーをメーカーから買って試してみて、はじめてものづくりがスタートします。
が、オーラを感知するセンサーなどこの世にありません。
そもそもオーラの科学的定義がないので。
まず、その段階で開発がストップするはずなのですが・・・・そこをどう折り合いをつけたのだろうと不思議に思います。
1:オーラ写真機作りたい
↓
2:機械屋に設計・試作を依頼する
↓
3:試作機が出来上がる。仕様を確かめて、問題なければ量産試作
↓
4:PSEとかいろいろクリアしてめでたく販売
ってのが大雑把な開発の流れだと思いますが、2をやった人の中に悪意がなければこんなものは作れません。
でも2の段階で技術者が絡むのであれば、と思い特許を調べてみました。
んなもんで特許取れるはずがないとおもいつつ・・・・
検索結果0件だろうな、と思いつつ・・・検索・・・・。
結果、
あんのかよ、特許!!!
ちなみに特許検索のサイトで「オーラ 写真機」とでも検索すれば出てきます。
そのうちの一つの中身を見ると特許の文章にはあり得ない「オーラ」とか「気」とかいう香ばしい単語が随所にみられます。
ざっくりと内容をまとめると、
1:人物の写真を画像として取得する。
2:同時に指をセンサーにくっつけて、脈拍やら体温の情報を取得する。
3:それらの情報をミックスしてオーラ写真を現像。
ん?1、2はともかく3は飛躍しすぎにもほどがある。
ちょっと待て。
俺も技術者やってた時に特許書いたことあるけど、そんなんで通るなら苦労しないぞ。
結果はどうなってるんだ?
と思い、審査結果を見ると、もちろん、「拒絶査定」の文字が・・・・・。
そりゃそうだ。出すだけなら誰だって権利はあります。
ただ、ここが特許の面倒なところで、拒絶されてもHPにはちゃんとそれらしく載るのです。
結果、それが通ったのか、拒絶されたのかは素人にはわかりやすく表記してくれません。
この特許を出した人がそうなのかは存じませんが、これを使えば「特許申請中商法」ができてしまいます。
簡単にいうと「特許申請してるんだぜ、すげーだろ」といって物を売る商売です。
通ったとは行っていないので別に詐欺にはあたらんでしょう。
一応弁理士を介している以上、こんなものが通るとは思えないのですが、「オーラ」だとか「気」だとか、定義の曖昧な言葉をふんだんに用いた申請であり、不服申請もなさそうなことを考えるとちょっと疑ってしまいます。
<ちゃんと特許を取ってる会社もある>
さすがにこれをディスりっぱなしもあれなので、一応もっと深く調べてみました。
すると、こんな特許があります。
【発明の名称】生理学的パラメータの監視用およびバイオ・フィードバック用装置
オーラという言葉は使わず、バイオ・フィードバックという言葉で通ってますね。
ふむ、オーラとか言われると拒絶感しかありませんが、生理的な情報を可視化する装置ということであれば確かに問題はない。
オーラ云々は拒絶しますが、この装置自体は全く問題なさそうですし、使い方によっては有益な情報が出し得る可能性はあると思います。
せっかくここまでやってるんだったら、この会社さんは「オーラ」というものを一応は科学的定義ができなくはないわけで、そういうの発信していけばいいのになー、と感じる次第です。
これは正直潰れたパワーストーン屋から二束三文で引き取って遊んでみたい。
この特許とった時にはなかっただろうけど、TensorFlow(Googleが公開している機械学習の仕組み)にこれのデータをぶち込んでみたら面白い結果の一つや二つ出そうなもんです。
ただ、この装置を使って、ただ不安だけを煽ってパワーストーンを買わせる業者がいるならば、それは別の問題。